ホンダといすゞ自動車は15日、燃料電池(FC)技術を活用した大型トラックの共同研究を行うことに合意したと発表した。FCパワートレインシステムや車両制御などの基礎技術基盤の構築を目指す。乗用車で実用化しているFC技術を商用車などさまざまなモビリティに活用拡大したいホンダと、大型トラック用次世代パワートレインのラインアップ拡充を検討しているいすゞとの思惑が一致した。

 ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所といすゞが共同研究契約を締結した。共同研究を行う期間は2022年1月まで。いすゞの大型トラック開発技術とホンダのFC開発技術を持ち寄り、FC大型トラックの試作車も制作して実用化への可能性を探る。現時点で、今回の共同研究を通じて両社で商品化や実用化する計画はないとしている。ただ、いすゞは大型トラックの電動化について、積載量や長距離運転の観点から走行しながら電気をつくることができるFC技術の活用がカギになるとみており、将来的には商品化と実用化も検討していく。ホンダもFC技術を乗用車用途以外にも広げることで車両の普及につなげるとともに、将来的にはFCスタックの外販も検討したいとしている。

 水素で発電し、その電気で走るFCVは、走行中に二酸化炭素(CO2)や排出ガスを一切出さない「究極のエコカー」。ホンダは08年に「FCXクラリティ」を発表し、16年にはFCスタックを小型化して実現した5人乗りセダン「クラリティ・フューエル・セル」を投入した。