オンライン会見の様子

 いすゞ自動車とボルボ・グループは30日、商用車分野での戦略的提携に関する基本契約を正式に締結したと発表した。いすゞは同グループ傘下のUDトラックスを2430億円で買収し、2021年5月ごろまでに新体制での協業を始める。第1弾として、22年以降にUDトラックスのプラットフォームを活用してアジア向け大型トラックを開発する。いすゞは大型商用車で世界2位のボルボ・グループとの提携により、共同購買で相乗効果を創出するとともに、自動運転や電動化など先進技術領域の開発を加速する。

 いすゞとボルボ・グループは19年12月に商用車分野での戦略的提携に向けた覚書を結んだ。いすゞは20年末にUDトラックスを子会社化する計画だったが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で一部作業に遅れが生じたため、当局からの許認可などを経て21年上期中の手続き完了を目指す。

 いすゞとボルボ・グループの両社は、技術、購買、製品補完などの領域で連携の可能性を追求し、500億円規模の協業効果を見込む。このうち大型トラックの共同開発に伴う開発・設備投資の節減効果や国内の物流・販売網の共有などの相乗効果として約300億円を予測する。海外での拡販のシナジーも視野に入れる。

 両社の提携により、いすゞは日本と海外市場の大型トラック事業を強化する。第1ステップとして22年以降、UDトラックスの一部商品を共有化し、アジア向け大型トラックを開発する。その後第2ステップとして、両社間で大型プラットフォームを共同開発する。こうした取り組みと合わせて電動化や自動運転、コネクテッド技術の開発も進める。一方、いすゞが得意とする中・小型トラックの領域では、商品ラインアップの拡充やいすゞの販路拡大を狙う。

 購買も調達領域を拡大しボリュームの最大化によりシナジーを創出する。まずは既存部品を対象に活動を始め、大型プラットフォームの共同開発のタイミングに合わせ共通仕様部品やコンポーネントを拡大。先進技術領域も視野に入れる。

 30日のオンライン会見で、片山社長は「日本の商用車メーカーとして、世界の商用車メーカーの先進技術に後れを取らないということが大きな目標だ」と話し、ボルボ・グループのマーティン・ルンドステットプレジデント兼CEOは「いすゞはボルボ・グループにとってこの上ないパーフェクトマッチ。新しい協業の機会を追求し業界の変革をリードする」と語った。