日野自動車は27日、自動運転レベル4(特定条件下における完全自動運転)の技術を実装した大型ダンプトラックの実証実験を11月1日から開始すると発表した。三重県伊賀市の川上ダムの建設現場に搬送ダンプとして1台導入し、有人ダンプと自動運転車が混在した交通状況などを検証する。実証実験は1カ月半実施し、建設現場における自動運転車の実現に向けてデータを収集する。

 日野がレベル4トラックの実証実験を行うのは初めて。車両は大型トラック「プロフィア」をベースに、全地球衛星測位システム「GNSS」や高精度センサー「LiDAR」などの技術を搭載し、レベル4相当の自動運転を実現した。

 実証実験は夜間の建設現場で行う。実験車は走行位置や経路をGNSSデータやライダーで把握しながら、狭いカーブや悪路、急こう配を含む走行ルート約1.3キロメートルを最高時速30キロメートルで走行する。指定されたルートを自動で走行し、障害物を感知すると自動で停止する完全自動運転車ながら、実証実験では安全を優先してシステム監視者が乗車する。

 建設現場では作業員の高齢化や労働力不足、夜間作業の生産性向上などが課題となっている。今回の結果を踏まえ、建設現場における荷積みや荷降ろしといった一連のオペレーションや複数台の自動運転車導入に向けた実証も検討し、自動運転トラックの早期実現を目指す。