日立 小島副社長
日立オートモティブシステムズ コッホCEO

日立側のメリットは何か。日立オートのブリス・コッホCEOは、4社が統合することで「よりよいテクノロジーを提案でき、開発効率も向上し、グローバルで工場を活用できる」と、統合のメリットを挙げる。4社が得意とする領域は重複するところもあるが、経営統合によってスケールメリットに加え、各社の技術を連携することによる技術革新や、高度なシステムを自動車メーカーに供給できる。

それだけではない。「社会インフラをデジタルの力を変革する」ことを目指す日立は今年4月の組織改正で、5つの成長分野の「ライフ」に、日立オートを傘下に置いた。快適な生活空間を実現するためには「移動」が重要なソリューションとなるからだ。これを実現するためには、デジタル化とともに、より多くのデータが必要で「新しい価値を創っていく上で、自動車がデータを発生する重要なソースになる」(日立・小島啓二副社長)。

そしてコネクテッドカーからデータを収集するには、自動車メーカーとの関係強化が欠かせない。しかし、日立が歴史的に関係の深い日産だけでは心もとないのも事実だ。日産の子会社だったカルソニックカンセイ(現・マレリ)は投資ファンドに買収されて独立系サプライヤーとなり、その後、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の自動車部品部門マニエッティ・マレリと経営統合した。系列最大のサプライヤーだったカルソニックカンセイでさえ、グループから離脱した。次世代モビリティサービスへの対応で、日産だけに頼るのはリスクが高い。ホンダ系の有力サプライヤー3社を傘下に入れることで、日立オートの事業拡大に加え、ホンダとの関係も強化して、日立本体のライフ事業と連携できる可能性が広がる。