会見で説明するミネベアミツミの貝沼由久会長兼CEO

芝浦電子へのTOB(株式公開買い付け)をめぐり、台湾の電子部品大手・国巨(ヤゲオ)と対抗しているミネベアミツミの貝沼由久会長兼CEOは8月18日、都内で記者会見を開き、先週発表した買い付け価格の引き上げ(従来の1株当たり5500円から6200円)について、「シナジーを積極的、広範囲に精査した。財務規律との齟齬はない。価格はいいところまで来ている」と今回の価格が上限に近いとの考えを示唆しつつ、「ヤゲオが200~300円上げてきても勝てるのではないか」と自信を示した。

一方、ヤゲオも同日夕方、TOB期間をミネベアミツミと同じく28日まで延長するととともに、ミネベアミツミの価格引き上げを受けてTOB条件の変更を検討している、と発表した。場合によっては、ミネベアミツミを上回る水準に引き上げる可能性もありそうだ。

貝沼会長は会見で、ヤゲオの外為法(外国為替及び外国貿易法)関連の審査が長期化していることについて、経済安全保障上の問題があるのではないかとの認識を示しつつ、「芝浦電子の株主が早期かつ確実に現金化する機会を提供する」と、ヤゲオと同額に設定することで株主は、TOBをめぐる法令面の課題などがないミネベアミツミを迷わずに選べるとの見方を示した。

ミネベアミツミは今年4月、同意なきTOBを発表したヤゲオに対抗し、ホワイトナイト(友好的な買収者)としてのTOBを発表。両社とも5月にTOBを開始したが、外為法審査の長期化などから、期間延長や価格の引き上げなどが続いており、異例の長期の争奪戦になっている。

芝浦電子の株価は、昨年後半から3000円台で推移してきたが、ヤゲオが2月にTOB提案の方針を表明(1株当たり4300円)すると4000円台となり、以降、TOB価格に連動して上昇基調を描いている。18日には6300円台と、1年前の約2倍になっている。