河西工業は10月8日、関東財務局に2025年3月期有価証券報告書および内部統制報告書を提出した。危ぶまれていた上場廃止はひとまず回避した。一方、同日開示した25年3月期決算は6期連続の最終赤字となった。
同社はメキシコ子会社で発生した過去の会計処理の誤りなどを受け、6月末が期限だった有報の提出期限を9月26日に延長していたが、期限内に提出できず、東京証券取引所の監理銘柄(確認中)に指定されていた。
10月8日までに提出できなければ上場廃止を免れなかったが、土壇場で間に合わせた格好だ。併せて23年3月期、24年3月期の訂正有報や四半期報告書なども提出した。東証は9日付で監理銘柄指定を解除する。
一連のトラブルの原因について同社は、(1)メキシコ子会社の決算財務プロセスへの関与の不徹底、(2)購買プロセスの不備、(3)マニュアルやチェックリストの整備、運用の不徹底、(4)エスカレーションルールの未浸透、(5)脆弱な内部監査体制、の5点を挙げた。業務の見直しや人員増強などを通じて再発防止に努めるとしている。
監査を担当したトーマツは財務諸表や内部統制について「適正」とする監査意見を示した。古川幸二社長は30%、稲津茂樹副社長と小川耕一専務取締役は20%、7~10月の役員報酬を減額する。
併せて発表した25年3月期連結決算は、売上高が前期比2.1%増の2188億100万円、営業赤字が2億8900万円(前期は16億5300万円の黒字)、最終赤字が91億8200万円(前期は15億5900万円の赤字)だった。最終赤字は6期連続。主要取引先の日産自動車の販売不振も背景に、北米での赤字の継続や中国事業の大幅減益などが響いた。
26年3月期業績予想は、売上高が同8.6%減の2000億円、営業利益が35億円を見込む。最終赤字は20億円に圧縮する見通しだが、原材料価格の高騰や日産の動向が不確定要因となるほか、一連の提出遅れが借入先金融機関の確約条項に抵触するなど、財務上のリスクも残っていることから、「計画している業績の回復が早期に達成できない可能性がある」としている。
第1四半期(25年4~6月)決算も未開示で、同社広報は「前期のような遅れにはならないと見ている。なるべく早く開示できるよう作業を進める」と話した。
(2025/10/8更新)