日産自動車は7月30日、メキシコのCIVAC工場(シバック、モレロス州クエルナバカ)の操業を2025年度中に終えると発表した。現在生産しているピックアップトラックとセダンは同国のアグアスカリエンテス工場(アグアスカリエンテス州)に移管する。統合に関する費用については評価中としている。
シバック工場は、日産初の海外工場で1966年に稼働した。現在、ピックアップトラック「NP300」および「フロンティア」、小型セダン「ヴァーサ」を生産しており、順次アグアスカリエンテス工場に移管する。シバック工場では現在3100人が働いており、このうち正規雇用は1600人。移管先への異動を念頭に、労働組合側と協議を進めていく。
日産の南米法人は今年3月、ルノーのアルゼンチン工場へのピックアップトラックの委託生産を終了し、2026年1月からシバック工場で生産すると発表していた。シバック工場での生産終了により、生産拠点をアグアスカリエンテス工場に切り替える。
約60年の歴史を持つシバック工場の累計生産台数は650万台超。1990年代には小型バン「AD」を日本に輸出していた。2つの生産ラインがあり、調査会社マークラインズによると年産約24万7000台の生産能力に対して、2024年の生産台数は約8万台だった。
一方、アグアスカリエンテス工場は、第1工場が1992年、第2工場は2013年に稼働した。比較的新しい設備を使用し、生産と物流を効率化している。
メキシコ出身のイヴァン・エスピノーサ社長は「決断は決して簡単なものではなかったが、効率を向上し競争力を強化して、持続可能性をさらに追求するために必要なものだ」とコメントした。
日産は、経営再建計画「Re:Nissan」で世界7工場の統合を進めている。今月15日には追浜工場(神奈川県横須賀市)での車両生産を27年度末で終えると発表した。また、メキシコでは、メルセデス・ベンツとの合弁のCOMPAS工場も生産を終了するとの現地報道がある。
日産は本日午後、2025年4~6月期決算の発表を予定している。