ミネベアミツミは5月1日、芝浦電子への株式公開買い付け(TOB)をめぐり、条件を引き上げて1株当たり5500円で、2日から買い付けを始めると発表した。芝浦電子も賛同することを表明。同意なきTOBを発表している台湾電子部品大手の国巨(ヤゲオ)に対抗する形になり、今後はヤゲオの対応が焦点になる。
ミネベアミツミと芝浦電子、アドバンテッジパートナーズは1日、都内で記者会見した。ミネベアミツミの貝沼由久会長CEO(最高経営責任者)は「芝浦電子が当社の成長戦略にフィットし、大きなシナジーを生むとの確信は変わらない」と表明。「当社はM&Aでも財務規律は守ってきたが、今回は競合相手がおり、また芝浦電子の技術はきわめて重要。このチャンスを逃すともう来ない可能性がある」と引き上げ判断の理由を説明した。
また、「法律家の末席にいる者(弁護士)として、ヤゲオがデューデリジェンスも実施せずに価格を引き上げるのは、善管注意義務からして大丈夫かと思ったが、想定の範囲」とやや皮肉る場面も。「メーカーにとり何より大事なのは人だ」と強調した。
ミネベアミツミのTOBについては、すでに大株主や創業家の一部が賛同して応募契約を締結済みで、その比率は22%になる。従業員や取引先のアンケートでも8~9割がミネベアミツミを支持している。
芝浦電子をめぐっては、ヤゲオがまず4300円でのTOB方針を発表。ミネベアミツミがホワイトナイトとして4500円でのTOBを表明した後、ヤゲオが買い付け価格を5400円に引き上げると発表した経緯がある。
芝浦電子も「公正・公平に検討した結果、ミネベアミツミのTOBに賛同する」(葛西晃社長)と改めて表明した。
また、アドバンテッジは「仮にヤゲオがさらに価格を引き上げてきても、当社は積極的に出資する用意がある」と、さらなるTOB合戦になっても対応できるとの考えを示した。
(2025/5/1更新)