武藤容治経済産業相は4月8日、日本自動車工業会(自工会)の片山正則会長や日本自動車部品工業会(部工会)の茅本隆司会長ら首脳と経済産業省内で意見交換を行い、中小零細企業の賃上げに向けて価格転嫁などの取引適正化のさらなる推進を要請した。米国の輸入車に対する追加関税発動に伴う国内自動車産業への影響が懸念される中、中小企業の賃上げの原資となる価格転嫁や適正取引の手を緩めないよう呼びかけた。
自工会からは片山会長をはじめ副会長や理事を務める自動車メーカー首脳8人が出席した。武藤経産相は冒頭、「米国の関税措置で自動車サプライチェーンにも大きな影響が懸念される。中堅中小の部品メーカーに影響が及ばないよう適正な取引を確保する観点からも目配せをお願いしたい」と語った。
米国の輸入車に対する25%の追加関税が3日に発動し、同国への輸出比率が高い国内自動車メーカーは影響が避けられない状況だ。自動車産業全体を見ても国内車両生産約900万台のうち約半数を輸出しており、そのうち3割を米国向けが占める。
自工会の片山会長は「トランプ政府の追加関税発動など不確実性が増し、サプライヤーと築いてきた産業基盤が根底から瓦解しかねない状態だ」と危機感を示した。「引き続き追加関税適用除外に向け粘り強く交渉してもらうとともに、サプライチェーンの支援や日本の基盤を守る各種支援策についても検討をお願いしたい」と述べた。
また、部工会の茅本会長は「賃上げを持続的に実施するには国内自動車生産を維持し、賃上げと競争力強化のための投資の原資となる収益の確保が必要条件となる。米国による追加関税はこれを強く脅かすものであり、中堅中小企業から『死活問題』との声が上がっている。米国との粘り強い交渉をお願いしたい」と要望した。