トランプ米大統領は2日(米国時間)、日本を含む貿易国からの輸入品に対し「相互関税」を導入すると発表した。全輸入品に一律10%の関税を適用した上で国・地域ごとに異なる関税を上乗せする。日本には合計で24%の関税をかける。ただ、自動車と自動車部品は、3日から25%の追加関税を課すため、相互関税の対象から外れる見通し。トランプ大統領は「米国の黄金時代が戻る」と強気だが、米景気の先行き懸念が強まる。世界貿易が滞ったり、米市場が低迷すれば、日本の自動車産業への影響も避けられない。
相互関税は、安全保障上の脅威に対処する国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく措置だ。トランプ政権は「慢性的な貿易赤字が製造業の空洞化や国防産業の外国依存を招いた」と判断。「国家非常事態」を宣言し、相互関税を発動した。一律10%分は5日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、上乗せ分は9日午前0時1分から適用される。
上乗せ分の税率は、国・地域ごとに関税や消費税、米国による「非関税障壁」を加味して決めた。一律分を合わせた税率は欧州連合(EU)で20%、英国は10%、韓国は25%など。米国最大の貿易赤字国である中国は34%。中国はこれまでの追加分を含め54%もの税率になる。
日本は24%になった。自動車や自動車部品には課されない見通しだが、米通商代表部(USTR)が3月末に公表した「外国貿易障壁報告書(NTEレポート)」は「米国製の自動車および自動車部品の売上高は依然として低い」とした上で、エコカーに対する補助金も「日本メーカーが最も恩恵を受けている」と指摘。規格を含めた充電インフラについて「海外メーカーの参入を阻んでいる」と結論付けている。トランプ大統領は「日本の自動車のうち94%は日本製だ。トヨタは米国で100万台の外国生産車を販売している」と語った。
一方、合成麻薬の米国流入対策の不備などを理由に25%の関税を課しているカナダ、メキシコは相互関税の対象から外した。両国と米国が結ぶ貿易協定に基づいた輸入品も25%関税の適用免除措置を続ける。
米政府はまた、日本車を含む輸入車に対して25%の追加関税を3日発動した。日本は、国内生産(約900万台)の半数を輸出しており、仕向け地別で米国は最も台数が多いだけに国内生産への影響は避けられない。自動車は相互関税の対象から外れるとみられるが、輸入品全般に高い関税がかかることで米国経済の悪化は必至だ。国内自動車メーカーの多くは米国事業が収益の柱で、米新車市場の先行きに警戒感を強めている。