「スマート静電選別」の検証機
三菱電機は、種類の異なるプラスチック片を自動選別できる世界初の「スマート静電選別」技術を開発したと発表した。人工知能(AI)を用いることで、高度な知識と経験が必要だった装置のオペレーションを自動化できる。自動車業界でも欧州のELV指令などを背景に再生プラスチックへの関心が高まっている。2027年の実用化を目指す。
静電選別は、プラスチックの摩擦帯電傾向が異なる静電気の特性を利用する。端材となったプラスチック同士を擦り合わせて静電気を発生させ、プラス電極とマイナス電極の間を通過させることで、落下する方向を種類ごとに変え、分離回収する。
比重選別やエックス線選別と比べると、黒色や微細なプラスチック片も含め、さまざまな種類の選別に有効な方法とされる。同社でも、30社以上の廃プラスチックのサンプル試験を実施し、高純度に選別できることを確認できているという。
ただ、静電選別では、プラスチックの混合比によって帯電状態が変化するため、電極の電圧、分離回収器の仕切りを絶えず制御する必要があり、普及が進まない要因となっていた。
同社は、画像解析により選別前と選別後の混合比をリアルタイムで〝見える化〟したほか、プラスチック片の帯電量や重量、種類を測定し、比電荷を高精度にセンシングすることで、落下軌道を予測。これらをAIに学習させ、選別機を最適な条件に自動制御できるようにした。