トヨタ自動車系大手部品メーカー7社は31日、2025年4~6月期連結決算を公表した。トヨタなどの好調な車両生産を受けて3社が増収、円高や関税の影響などがあったものの5社が増益を確保した。注目されたトランプ米政権による関税では、デンソーが125億円、アイシンが85億円など、各社ともに一定の影響が出た。今後は関税影響分の価格転嫁の交渉を進めるほか、生産、調達地域の見直しなどサプライチェーン最適化を視野に入れた対応を急ぐ。
4~6月期のトランプ関税の影響は、営業利益段階でデンソーが125億円、アイシンが85億円のほか、豊田自動織機は35億円、ジェイテクトは20億円、豊田合成は15億円、トヨタ紡織は5億円などだった。トヨタ紡織の鈴木浩之CFO(最高財務責任者)は「想定より相当低い。目詰まりがあるのではないか。計画値に基づくシミュレーション上は70億~100億円と予想している」と説明した。
通期業績に与える影響額については、デンソーが1300億円、豊田自動織機は500億円、ジェイテクトは300億円とした。アイシンは期初に試算した200億円を変更しなかった。
各社は影響額を算定しつつ、関税対応策を進める。デンソーの松井靖副社長は「米国で造れるものは米国で、第三国を迂回している商流は止めるなど徹底的に縮減する」と強調。アイシンの近藤大介グループ経営戦略本部長は「物流効率の観点でアメリカの拠点に集めていたが、日本からメキシコやカナダに直接送ることも検討している」と述べた。
自動車メーカーとの価格転嫁の交渉も始めている。豊田合成の蜂須賀正義取締役は「自助努力した上で残った分は価格転嫁させていただきたい」と話した。その上で、期初に50億円と試算した通期の関税影響額は25億円に縮小できる見通しを示した。
25年4~6月期決算は、主要取引先の好調な車両生産による販売数量の増加などで3社が増収。営業利益は円高や関税などが影響して2社が減益となったが、稼働率向上や合理化努力、原価改善などが寄与し5社が増益となった。
アイシンと愛知製鋼は増収増益を確保した。アイシンはパワートレインユニット販売などが好調で、売上収益が過去最高。愛知製鋼は売上、利益ともに過去最高を更新した。
通期業績見通しは、デンソーが関税額の回収を織り込み、売上収益を前回公表値から1500億円増の7兆2千億円に引き上げたが、他の6社は据え置いた。