前回から名称を一新した「ジャパンモビリティショー(JMS)」が東京ビッグサイトで開幕した。会場では自動車メーカー各社の最新モデルの展示をはじめ、未来のモビリティ体験、スタートアップによる新技術の提案、さらに歴史やカルチャーにフォーカスした企画など、見どころは尽きない。
注目を集める今年のJMSを、日刊自動車新聞電子版の編集メンバーが独自の視点で気になるポイントを紹介する。
「いくっしょ、モビショー!」。会期は11月9日まで。
10年後の近未来とは
主催者プログラム「Tokyo Future Tour 2035」では、近すぎず遠すぎない10年後の近未来のシーンをさまざまな技術やモビリティの進化を通じて体験できる。
会場入口の巨大デジタルスクリーンを抜けると、⼈型・四⾜歩⾏ロボットや人工知能(AI)に出迎えられ、それぞれがパフォーマンスを実施、ツアー冒頭から異空間を楽しめる。すぐ近くには、近未来の乗り物として活躍が期待される大型の空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」の“搭乗口”も設置され、来場者の注目が集まっていた。
10年後を想定し、大規模なシミュレーションで表現された自然空間もお目見え。今でもキャンピングカーやカスタムカーなどが活躍しているが、さらにアウトドア仕様を高めた未来型モビリティを間近で体感できる。
この後、舞台は未来の街へ移動。車両そのものが進化し、デザインの自由度も増した形で、ソーラーカーや燃料電池バス、走行中ワイヤレス給電など数多くのモビリティやシステムが出展されており、将来の街並みで出会うかもしれない。
さらに奥へ進むと、モノづくりの可能性を感じられる空間が広がる。“大人の本気”や技術の進化で実現した象徴として、トヨタ自動車とホンダそれぞれがポケットモンスターとコラボレーションした未来のモビリティ「トヨタミライドン」と「ホンダコライドン」もそろって展示された。10年後の未来は一人ひとりのアイデアや選択によって創られると実感できるだろう。
昭和にタイムスリップ
次は「Mobility Culture Program」。現代の姿に至るまでのモビリティ文化に焦点を当て、今回初めて実施する新たなシンボルプログラムだ。自動車メーカー各社が協力し、往年名車の存在感、クルマ・バイクファンのコミュニティなどを各種展示・イベント開催で打ち出した。
来場者から最も関心が高そうなのは、戦後から現代まで当時を旧車と共に体感できる「タイムスリップ・ガレージ」。3つの年代で展開し、1970年代までのエリアでは、戦後から高度経済成長期の変化と情景を提示。「昭和」のクルマの歴史を一目瞭然で回顧できる。
1980~90年代エリアでは、シティポップ、ラグジュアリーなどバブル期を振り返り、その時代で存在感を見せたホンダの小型車「シティ」やヤマハ発動機の原付バイク「ジョグ」などが並び、バブル世代にとっては懐かしさがこみ上げてくる。
そのほかにも、環境志向などを背景に多様なライフスタイルが広がった時代に登場したトヨタの世界初の量産ハイブリット車「プリウス」をはじめ、国内外で高い人気を誇るマツダ「RX-7」(FD3S型)やトヨタ「カローラレビン」(AE86型)、ステーションワゴンブームで一世を風靡したスバル「レガシィツーリングワゴン」(2代目、BG型)、「街の遊撃手」のテレビCMで有名ないすゞ「FFジェミニ」(2代目)などを展示している。
エリア全体を通して、改めて「モビリティの本質的な魅力に心惹かれる体験」(自工会モビリティショー委員会の貝原典也委員長)にひたれる機会となりそうだ。








