カメラ画像をもとにドライバーの集中度や感情、バイタルデータなどを推定する

 三菱電機モビリティ(加賀邦彦社長、東京都千代田区)は、車載部品のソフトウエア販売に乗り出す。まずは市場拡大が確実なドライバーモニタリングシステム(DMS)のソフト単体を手掛け、顧客が組み込むハードウエアに最適なソフトを納入できる体制を整える。ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)とともに車載ソフト市場も拡大すると複数の調査会社が予測する。同社としても、2030年代にソフト関連を電動化製品と並ぶ柱に育てていく考え。

 DMSは、ドライバーや乗員の状態を検知する装置。先進運転支援システム(ADAS)や自動運転に不可欠な装置として、欧州では一般安全規則(GSR)で昨年7月から新車への搭載が義務化された。三菱電機モビリティは複数の日本の自動車メーカーにDMSを納入するほか、昨年末には画像処理技術に強みを持つ豪シーイングマシーンズの筆頭株主になった。同社のソフトはフォルクスワーゲンやフォード・モ―ターなど、260万台以上の乗用車に用いられている。三菱電機モビリティは、DMSの装着義務化が他国にも広がるとみて事業体制を整える。

 具体的には、映像から乗員のバイタル(生体)データを検知したり、認知や判断機能の低下を警告するといった具合にソフトを高機能化するほか、顧客が車両に組み込むハードに最適化したソフトを提供できる体制を整える。研究開発面では、家電やインフラ関連など三菱電機グループへの展開も視野に入れていく。

 三菱電機モビリティは昨年4月、三菱電機から分社化してできた。低収益のカーナビ事業から撤退し、DMSなどのADASや電動化部品に製品ポートフォリオを転換させている最中だ。こうした戦略製品群と合わせ、SDVの潮流に合わせソフト単体の事業を伸ばすことで収益基盤を安定させ、中長期的な成長を目指していく。