欧州二輪車メーカーのKTMは11月26日、本社のあるオーストリアの裁判所で破産手続きを開始すると発表した。同社が主力とするオフロードバイクや上級スポーツモデルの欧州での販売が低迷して業績が悪化している。ブランド存続に向けて自主管理による法的な再建を目指す。

KTMはインドの二輪大手バジャジ・オートも出資している老舗二輪車メーカーで、モータースポーツでの活躍でブランド力を高めて欧州を中心に販売を伸ばしてきた。二輪車生産台数を1日当たり1000台まで増やしていたが、インフレなどによる欧州経済低迷の影響を受けて二輪車販売が低迷、過剰在庫などで業績が悪化している。

25日にはKTMに出資する投資会社が債権団に対して2億5000万ユーロの債務返済期限の延期を要請していた。29日にも裁判所に破産を申請する予定で、今後、債権者とブランド存続について交渉し、90日以内の手続き完了を目指す。2年以内に生産能力の削減や人員削減などを進め、事業を大幅に縮小する。今期業績は資産の評価損と構造改革費用を計上するため、数億ユーロ規模の最終赤字となる見通し。

KTMは1991年にも経営破たんしたが、その後、事業分割してブランドを継続し、モトクロスなどの二輪車販売を伸ばして欧州最大の二輪車メーカーになるまで成長していた。

KTMのシュテファン・ピーラーCEO(最高経営責任者)は5000人を超える従業員向けのビデオメッセージで「未来に向けてピットストップしたが、KTMブランドは私のライフワークであり、そのために戦う」との声明を公表した。

日本国内では、日本法人のKTMジャパン(オリバー・ゴーリング社長、東京都江東区)が二輪車の輸入・販売業務を手掛けている。2023年度(23年4月~24年3月)の新車登録台数は1449台で、輸入小型二輪車のシェアは5.4%と5位だった。