欧州自動車工業会(ACEA)は、2025年以降の二酸化炭素(CO2)排出削減目標に対する「緊急の救済措置」を講じるよう、欧州連合(EU)に求める声明をこのほど出した。欧州では25年から「企業別平均燃費方式(CAFE)」に基づく規制値が強化される。欧州勢は電気自動車(EV)を売って規制を満たす考えだったが、販売急減で目算が狂っている。ACEAは「現行規則は過去数年間の環境変化を考慮していない。今すぐ緊急かつ有意義な行動が必要だ」と、見直しに向けた議論を求めている。

 EUは自動車メーカーに対し、新車の平均CO2排出量を25年までに21年比で15%削減することを求め、達成できない場合は罰金を課す規制を導入している。また政策パッケージ「フィットフォー55」に基づき、排出量取引制度も同年からの導入を見込む。

 こうした環境規制案にACEAは「ゼロエミッション車への移行に必要なその他の要素が整っていない」とし「短期的な緩和策パッケージ」の導入を求めている。具体的には、EVや水素のインフラや電池などの安定供給、再生可能エネルギー価格、車両の購入補助金や税優遇といった「車両以外の分野に課題がある」と指摘。「雇用喪失や欧州のサプライチェーン(調達網)とバリューチェ―ンの弱体化といった恐ろしい見通しが懸念される」としている。

 欧州では、独フォルクスワーゲンが工場閉鎖と人員削減を検討していると報じられ、ボッシュやコンチネンタルなど大手サプライヤーもリストラを進めている。