大手損害保険4社による一連の情報漏洩問題で、三井住友海上火災保険は9月30日、保険代理店への出向者が他社の保険契約情報1万2846件(13代理店分)を持ち出して出向元の自社に報告していたと発表した。大半が自動車ディーラー(乗合保険代理店を兼務)から持ち出したとみられる。これまでの情報漏洩は保険代理店や地方銀行が舞台となっていたが、自動車ディーラー(代理店兼業)から大量の情報を持ち出したのが表面化したのは初めて。現在政府で進めている保険業法改正案の作業に影響する可能性もある。
出向者は、自分の判断で自社に報告していた。本社からの評価を期待して行った。持ち出された情報は自社への保険の切り替えのための営業活動にも使われていた。
出向者による情報漏洩について、三井住友海上火災は8月30日に、128件(5代理店分)あったと公表していた。ほかの3社も同日に公表していたが、三井住友海上は他社に比べて極端に少なかった。同社は「8月末以降に調査を進めていて(今回新たに)発覚した」とコメントしている。
一連の情報漏洩では、出向者によるものと、もう一つ別な種類がある。自動車ディーラーが事務負担を減らすためなどの目的で複数の損保側に契約情報をメールで送るなどして共有していたものだ。三井住友海上は同日、この種類の情報漏洩が34万5417件(304代理店)あったとも発表した。8月30日時点では33万6179件(298代理店)と公表しており、少し増えた形になった。
こちらの情報漏洩では、連絡先が特定できない契約者がいる。このため自動車ディーラーを含む保険代理店57社を同社がホームページ上で公表した。
大手損保4社(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損害保険)の一連の情報漏洩問題は、8月末時点で約250万件に達している。