経済産業省は9月6日、経済安全保障推進法に基づき安定供給を目指す蓄電池分野に関し、国内における電気自動車(EV)向け車載電池の設備投資・技術開発の計画12件を認定したと発表した。事業総額は約1兆70億円で、これに対して政府は最大約3500億円の助成を行う予定。蓄電池の製造能力強化に向けた国内投資を後押しすることで、蓄電池の他国依存を弱めて日本の国際競争力向上につなげる。
蓄電池4件、蓄電池部素材4件、蓄電池製造装置4件の計12件の設備投資・技術開発の計画の支援を行う。蓄電池では、パナソニックホールディングスがマツダおよびスバルとそれぞれ車載用リチウムイオン電池の生産拠点を整える計画だ。日産自動車は車載用リン酸鉄リチウムイオン電池を、トヨタ自動車グループでは次世代車載用角型電池と全固体電池負極材に関する生産設備や技術開発を計画する。
齋藤健経産相は同日の閣議後会見で、経済安保法に基づく蓄電池の認定供給確保計画を通じて「わが国の蓄電池サプライチェーンと蓄電池産業の競争力が強化されることを期待する」と述べた。
経産省は、当面主流となる液系リチウムイオン電池の製造基盤強化に向けた投資支援などを通じて、遅くとも2030年までに蓄電池の国内製造能力を年間150GWh確保する目標を掲げている。予算額は23年度補正予算で2658億円、24年度当初予算で2300億円を計上した。
蓄電池の国内製造基盤の拡充に向けて、経済安保違法に基づく支援策を2023年1月から開始し、同年の4月に8件、6月に7件の計画を認定した。経産省によると、今回認定したすべての計画が実現すれば、国内の蓄電池製造能力は年間85GWhから同120GWhに拡大する見通しだ。