損保4社は25年に続き、26年にも値上げする公算が大きくなっている

 損害保険大手4社は、2025年1月に自動車保険の保険料を値上げする方針を固めた。東京海上日動火災保険は現行に比べて約3.5%、損害保険ジャパンは5%程度を上乗せする。MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は現在、改定幅を検討している段階だ。国内市場では車が高額化しているほか、補修部品も値上がりするなどして整備費用も高騰。損保大手4社の支払い保険金が増加している。保険料を見直すことで、悪化している自動車保険の収支を改善する狙いだ。

 東京海上日動の値上げは、24年1月に続き2年連続。同社によると、この時点より収支状況が悪化しており、今回は値上げ幅を前回比1㌽引き上げる。同社によると、保険修理の工賃算出に用いる「指数対応単価」(工賃単価)を23年度から2年連続で引き上げていることも、支払い保険金の増加につながっているとしている。同社は工賃単価を23年度に4.1%(同社の理論値)、24年度は3.98%高めている。

 24年1月に、大手4社で唯一値上げを見送った損保ジャパンも、整備費用などさまざまなコストの上昇を受けて約5%の値上げに踏み切る。値上げは20年1月以来(軽自動車を除く)となる。

 三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保も保険料をアップする方針を決めているが、改定幅などの詳細は「現在はまだ検討段階」(広報担当者)としている。両社は前回、それぞれ3%の保険料引き上げを実施していた。

 損保各社の24年3月期の連結決算をみると、国内保険事業が厳しい状況だった。自動車や火災など保険事業全体の収益を示す「保険引受利益」は、あいおいニッセイ同和損保が331億円の赤字だった。同社は自動車保険の比率が高いことが響いた。東京海上日動も、前年比で6.2%も減った。このような状況を受け、大手4社は5月下旬の決算発表で、24年度中にも値上げしたい考えを示していた。

 自動車保険は26年1月にも値上げする可能性が濃厚となっている。客観的な保険料のコスト計算をするため、損保各社でつくる損害保険料率算出機構(早川眞一郎理事長、東京都新宿区)が自動車保険料を決める基準となる「参考純率」を平均5.7%引き上げる案をまとめ、24年6月下旬に金融庁に認められた。損保各社はこれを基に、保険料を改定していく見通し。こうなると、大手4社では損保ジャパンを除いて3年連続での値上げとなりそうだ。