現在、非認定品を含めさまざまなケーブルが流通している

 国土交通省は、10月に本運用を始めるOBD(車載式故障診断装置)検査で使用する車両と車両通信インターフェース(VCI)間の接続ケーブルで、型式指定認定を取得していないものの使用を禁止することを決めた。車両と有線接続した場合、合否判定に影響を及ぼす可能性があるため。監査などで非認定品の使用が判明した整備事業者は、行政処分の対象とする。ただ、VCIとパソコンなどを接続する場合は、判定に影響を与える可能性が低いことから、非認定品の使用を認めるとしている。

 VCIケーブルは、スキャンツール(外部故障診断装置)の標準規格や検査用機会器具の審査基準に基づき、厳密に規格が定められている。長さは5㍍を超えてはならず、検査用スキャンツールの信号グランドの抵抗値は500㌔オーム以下としている。近年、欧州車で採用が広がっている国際標準規格に基づく「DoIP方式」の通信プロトコルに対応する必要もある。この通信方式に適合しないケーブルを使用すると「OBD検査の合否判定に影響を及ぼす可能性が排除できない」(国交省)として禁止する。

 車両とVCI間、VCIと端末間いずれの接続ケーブルも電子商取引(EC)サイトなどで非純正品が流通している。現在、こうした非認定品を使用している整備事業者がいるとみられるが、OBD検査の本格導入が始まる10月1日までに、ツールメーカー純正などの認定品に交換する必要が出てくる。

 また、VCIのコネクターが使用過程で摩耗や劣化し、接触不良などが発生する可能性がある。この場合、正しい情報が読み取れない恐れがあり、定期的なメンテナンスや交換が必要になる。交換用部品の有無は整備事業者が商品を選ぶ際の有益な情報になるため、国交省は日本自動車機械工具協会(機工協、柳田昌宏会長)のホームページ上で公表している検査用スキャンツール認定機種リストに、追加情報として盛り込む考えだ。