東レの次世代モビリティコンセプトモデル「TEEWAVE CX1+」
フロントグリルには赤外線カメラを内蔵するが見た目にはわからない。フィルムで金属質感を出している
シート背面などはリサイクルCFRPを用いた
連日、体験希望者の列ができていた

東レは、次世代モビリティコンセプトモデル「TEEWAVE(ティーウェーブ)CX1+」を開発し、「人とくるまのテクノロジー展2024横浜」に出展した。自動運転など将来のモビリティを想像し、快適性を高めたり課題解決に繋がる素材と技術を一台に詰め込んだ。7月に開かれる「人とくるまのテクノロジー展2024名古屋」ではさらに機能を拡充して出展する予定だ。

昨年の同展示会で披露したティーウェーブCX1をベースに、次世代モビリティに期待される機能や性能をさらに加えて改良した。

新たに設けたフロントグリル部分にはナノ積層フィルム「ピカサス CM」を使い、金属質感を出しながら文字や記号を映し出すデモを実施した。歩行者などとのコミュニケーション用途を想定する。グリルには赤外線カメラが内蔵されているが、外からレンズは見えない。可視光を遮り赤外線を透過する黒色コーティング材料「フォトブラック」を用いたためだ。

次世代車では環境負荷の低減に向け、リサイクル材料の活用や再資源化しやすい設計が求められる。リビングのような車内に置かれた肘掛けつきシートは、快適性に加えてサステイナブル性も高めた。ポリエステルのクッション材と布バネはそれぞれウレタンクッションと金属バネを代替し、廃棄時の分別をしやすくしている。シート背面や車体ピラーの一部はリサイクル炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製だ。自動車製造工程で二酸化炭素(CO2)排出量の約2割を占めるといわれる塗装工程を削減するため、加飾フィルムも用いた。

ティーウェーブCX1+は、繊維から樹脂、高機能フィルム、電子情報材料まで、同社の幅広い事業を横断して仕立てた。未来のモビリティ空間を体感しようと、会期中は連日列ができていた。

7月の名古屋の展示会では、内装を中心にさらに新機能を追加する予定だ。同社は快適性の向上につながる先端素材や、サステイナビリティに寄与する素材や技術に注目してほしいとしている。