旭化成、三井化学、三菱ケミカルは8日、西日本地域でのエチレン生産に関する協業の検討を開始すると発表した。3社が持つエチレン製造設備で、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に向けてバイオマスの原料化や生産体制の最適化などを協議していく。今後、具体的な議論を開始し、2024年中に方針を出す考えだ。

 「エチレン」はプラスチックなどの原料となる基礎化学品で、自動車や半導体、生活用品などに用いられる。3社ともエチレンの開発・生産を進めているが、製造工程で多くの化石資源を使用するため、GHG(温室効果ガス)削減が課題となっていた。

 今回の枠組みでは、旭化成と三菱ケミカルの合弁会社が運営する水島工場(岡山県倉敷市)と、三井化学の大阪工場(大阪府高石市)の連携を模索する。各社の技術や知見をもちより、低炭素燃料への転換策や製造工程のグリーン化に資する技術開発を進める。また、将来に向けた生産体制の最適化に関しても可能性を探っていく。

 エチレンの生産では近年、大型設備の新増設を進める中国企業が台頭する。日系企業は利益の確保と環境対応を両軸で進める必要があり、企業間連携の重要性が増している。出光興産と三井化学も、千葉地区においてエチレン装置を共同運営する検討を4月から始めた。旭化成など3社も連携を進め、カーボンニュートラルにつながる技術開発と実装を目指す。