米電気自動車(EV)大手テスラが充電器部門の幹部と従業員約500人を解雇したと複数の欧米メディアが伝えた。新規設置への投資を抑え、既存の充電器の稼働率向上に取り組む考えだ。同社の充電規格「NACS」はトヨタ自動車など日本メーカー各社も北米向けで採用する方針を示している。米国の充電網で主導権を握るテスラの動きは、米国事業のウエートが大きな日本メーカーにも影響を及ぼす可能性がある。

 2日までに英フィナンシャル・タイムズなどが報じた。充電器事業自体は継続する見通しで、テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は「テスラは(充電器)『スーパーチャージャー』ネットワークを引き続き拡大する計画だが、新規拠点立ち上げのペースは落とし、100%の稼働率と既存拠点の拡大に重点を置く」とSNS(交流サイト)「X」上に投稿している。

 テスラは、中国での販売競争の激化などにより新車販売が落ち込み、2024年1~3月期決算は減収減益となった。4月には世界の従業員の10%以上に当たる1万4千人を削減すると従業員に通達していた。

 同社は自社の充電器が全世界で5万基以上設置されているとする。独自規格のNACSはケーブルの軽さや、充電時の認証や決済が自動でできる利便性の高さが特徴。米エネルギー省は米国内の充電器シェアで約6割としている。

 このため、ゼネラル・モーターズやフォード・モーターなど現地メーカーをはじめ、トヨタや日産自動車、ホンダ、スバル、マツダの日本メーカー、さらにメルセデス・ベンツやBMW、ヒョンデなど自動車メーカー各社が25年以降の現地向けEVでNACSへ対応すると発表していた。