運転業務の時間外労働に上限が設けられ、人手の確保や輸送の効率化が必須に

 物流や旅客の「2024年問題」と呼ばれる措置が4月1日から正式に始まる。もともとは〝働き方改革〟の一環として、時間外労働の上限が労働基準法に明記され、2019年4月から施行されている。ただ、建設業や医業などとともに「自動車運転業務」は「長時間労働の背景に業務の特性や取引慣行などがある」として、適用が5年間猶予されていた。この猶予期間が終わるのが3月末というわけだ。輸送力を維持しようと外国人労働力の活用を含め、官民でさまざまな対策が行われている。しかし、多重下請け構造や長時間の荷待ち、無償の荷役業務など問題も多く、消費者の意識改革を含めた対策が引き続き求められそうだ。

 このほか、「クリーンエネルギー自動車(CEV)補助金」の算定方法が新しくなったり、〝日本版ライドシェア〟がスタートしたりする。CEV補助金は車両に加え、充電や整備網への取り組みといった製造元(メーカー)の取り組みを新たに評価し、補助金の算出に用いる。電気自動車(EV)の場合、最大85万~最小15万円と最大で70万円の差が出る。日本版ライドシェアは、タクシー事業者が一般ドライバーを活用する「自家用車活用事業」として、まずは東京23区と武蔵野市、三鷹市からなる「特別区・武三」、横浜市などの「京浜」「名古屋」「京都市域」で始める。

 企業では、光岡自動車(富山市)の大野貢常務(61)が社長に昇格する。社長交代は約22年ぶりで、創業家以外の社長は大野常務が初だ。部品メーカーではニッパツ、東京ラヂエーター製造、アドヴィックスなどで社長が代わる。鉄鋼メーカーや石油元売りの一部トップも交代する。流通ではヤナセの森田考則専務(60)が社長に昇格する。伊藤忠出身で自動車事業にも精通し、ヤナセに来る前は伊藤忠欧州会社の社長を務めていた。ビッグモーター問題に揺れた損保業界もSOMPOホールディングス(HD)と東京海上日動火災保険のトップが交代する。

 三菱電機は、昨年暮れに新会社「三菱電機モビリティ」を設立し、4月1日に自動車機器事業を移管する。電機各社は一時期、自動車部品事業に力を入れたが、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)に対応する投資がかさみ、近年は〝選択と集中〟を急いでいる。用品商社のエーモン工業(兵庫県福崎町)は、社名を「エーモン」にする。同社は、かゆいところに手が届く用品をきめ細かくそろえることでファンを獲得してきた。創業60周年の節目に社名を変える。

 ディーラーでは、ホンダが南関東、東北、九州の直営販社を統合。日産自動車も連結子会社の神奈川日産(髙木恵一社長、横浜市西区)と日産プリンス神奈川(同、横浜市神奈川区)を統合させ、売上高1200億円、年間販売3万台と日産系では日本最大のディーラーが誕生する。