25メートル連結フルトレーラ―

 トヨタ自動車は、部品物流の効率化に向けた取り組みを加速している。サプライヤーの在庫拠点に部品を取りに行くことで集荷を効率化する「引き取り物流」は1月末時点で導入率が4割を突破。さらに2022年から導入した25㍍連結フルトレーラーでは、従来トラックに対し積載量を2倍とすることでドライバー不足への対応と二酸化炭素(CO2)排出量の低減につなげている。物流の「2024年問題」に直面する中、引き取り物流や連結フルトレーラーの導入拡大を検討し、課題解決を目指す。

 国内の部品物流では、サプライヤーが輸送事業者を手配して自動車メーカーの指定時刻に車両生産工場へ製品を納入するのが主流。一方、海外では1台のトラックが部品を集荷して回る「ミルクラン」が一般的だ。

 トヨタでも部品の引き取り側が主体となって、仕入先や物流会社をまたぐ形で効率的な部品物流の枠組みを構築。各社の荷量に合わせて最適な合積み(共同輸送)をすることで、台当たりの積載効率を高めるとともに、荷積み・荷下ろし作業の改善を図り、効率化を進めている。

 長距離幹線輸送では、荷室を2台連結した全長25㍍のフルトレーラーを導入した。後方の荷室は切り離してトラクターヘッドを装着すれば単独運行も可能なので、支線輸送にも対応できる。愛知県豊田市の物流センターからトヨタ自動車九州の工場へのルートでは、1日6便運行しており、従来の10㌧トラック比でドライバー数は39%減、CO2は22%減をそれぞれ実現したという。

 4月からは、働き方改革関連法がトラックドライバーにも適用され、時間外労働上限が年間960時間に制限される。これにともない輸送量の減少が懸念される「2024年問題」への対応が、自動車メーカーでも重要な課題となっている。

 トヨタでは新車の受注残解消に向けて国内工場ではフル操業が続いており、2024年問題によって部品物流が車両生産のボトルネックにもなりかねない。同社は連結フルトレーラーの導入拡大や復路で補修部品を積み込むなど輸送効率をより高める取り組みを進め、生産停滞を防ぐ考えだ。