構成部品をロット管理する「かんばん」ごとにQRコードを割り振る

 東海理化が部品のトレーサビリティ(追跡性)を強化している。一部の部品で、仕入先から購入した材料の素性から熱処理などの加工や組み付け条件、検査などの条件を工程ごとに細かく記録し、完成部品の製造データの追跡性を高めた。従来よりも細かな製造データをデジタル管理することで、不具合が判明した際のリコール(回収・無償修理)対象範囲を迅速に絞り込むことも可能になる。まずは重要保安部品であるシートベルトから取り組みをスタートし、4月以降、対象部品を順次、広げていく。

 トレーサビリティを高める取り組みは、豊田工場(愛知県豊田市)のシートベルト製造工程で2023年春頃からスタートした。重要保安部品であるシートベルトは出荷時にIDを割り振り、1セットずつ識別できるようになっている。今回の取り組みでは、シートベルトを構成する約50~60個の部品の中でも、安全性能に直結するものについて、構成部品をロット管理する「かんばん」ごとにQRコードを割り振った。工程ごとにQRコードを読み込むことで素材情報、鍛造や熱処理などの加工、部品組み付けなど、各工程のデータを蓄積できるようにした。

 これまでも、在庫を極力減らす「ジャスト・イン・タイム」や「先入れ先出し」による生産・在庫管理により、構成部品ごとの追跡性はある程度確保していたという。ただ、部品の不具合が判明した際、対象となる部品の絞り込みに時間がかかるうえ、リコール漏れを防ぐため、対象範囲を広げるなどの余分なコストもかかっていた。QRコードによる工程管理を導入することで、不具合を出した工程や部品の対象範囲を迅速かつ正確に絞り込めるようになる。

 近年、部品の共有化が進んだことで、不具合が発生した場合のリコール対象台数が増える傾向にある。二之夕裕美社長は「トレーサビリティがしっかりできればリコールに早く対応できる。また、供給する交換部品も少なくて済む」と語る。

 シートベルト製造で導入した工程管理は他の製品にも拡充する方針で、まずはシフトレバーなど安全に関わる製品から順次、取り組む方針だ。