会見する中央発條の小出健太社長

 トヨタ自動車系中堅部品メーカー6社の2023年4~12月期連結業績は、トヨタの好調な車両生産を追い風に、全社が増収増益(黒字化含む)となった。東海理化、愛三工業、フタバ産業の3社は売上高と各利益項目で過去最高を更新した。一方で、外資系自動車メーカーが軒並み苦戦する中国事業が足かせとなり、2社が24年3月期の営業利益を下方修正した。足元では、ダイハツ工業と豊田自動織機の認証不正もあり、生産見通しが立てにくい。各社は日々の改善活動や価格転嫁により、こうした下振れリスクを吸収していきたい考え。

 東海理化は、グローバルで原材料価格の売価への転嫁が進んだとして、通期予想を上方修正した。日本や北米は好調だが、中国は前年同期比約7%の減収となっており、期末にかけても春節による稼働減や台数の弱さを想定する。篭橋榮治収益改革本部長は「市場が変わりつつあるので、設備の持ち方など戦略を検討している」と明かした。

 フタバ産業も、北米の自動車生産の回復や全地域での収益改善が想定を上回り、営業利益以下を上方修正した。大橋二三夫代表取締役は「中国が一番の課題だ」と指摘し、拠点のオペレーションのスリム化を一層進めるとした。

 愛三工業は、販売数量の増加や円安が利益を押し上げるものの、通期予想を据え置く。加藤茂和執行役員は「好決算で上方修正を社内でも議論した」としつつも「客先の稼働の変化や中国市場の冷え込みの情報が少ない」と据え置きの理由を説明した。

 ファインシンターも業績予想を据え置く。小林努常務執行役員は「あくまで概算だが、ダイハツと豊田自動織機で3億~4億円の売上影響を想定する」と語った。柔軟な生産体制でリスクを軽減する。

 中央発條は、23年10月に藤岡工場(愛知県豊田市)で起きた爆発事故の影響により、通期業績見通しを「未定」としていたが、連結業績への影響を5億円と公表した。期初に13億円と予想した通期営業利益も5億円引き下げる。小出健太社長は「事故対応と今後の安全対策、中国の景気後退などで着地点が下がる」と語った。

 大豊工業は売上高、営業利益を下方修正する一方、円安を理由に純利益を上方修正した。延川洋二執行役員は営業利益の修正について「中国の景気減速とタイの内燃機関車の落ち込みをみた」と説明した。