大手損保各社は1月から自動車保険料を値上げする。国内の自動車市場が成熟して保険料収入が伸び悩む一方で、コロナ禍が過ぎて交通量が増え、保険金の支払い額が増えているからだ。物価高で経費もかさんでおり、それらを反映することで自動車保険の収支を改善する。さまざまな商品の平均でみると、東京海上日動火災保険は2・5%、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険が3%、共栄火災海上保険は3・3%の値上げ幅となっている。
損害保険ジャパンは同月からの値上げを見送った。自動車保険金の不正請求問題を起こしたビッグモーター(和泉伸二社長、東京都多摩市)と深い関係にあったことなどから、顧客の理解を得られないと判断した。〝ビッグモーター問題〟は23年7月下旬、同社が初の会見を開き、広く世間に知られるようになった。
損保各社の23年度上期(4~9月)決算の中では、この問題が9月までの2カ月間しか反映されておらず、影響は各社とも軽微だった。ただ過去にさかのぼって不正請求の点検をしているほか、顧客対応などについての経費もかかっている。こうした作業は24年も続きそう。損保業界への不信感にもつながったことから、通期決算では一定の影響が出てくる可能性がある。