自動車リサイクル業界の景気を左右する使用済み自動車の発生台数は、2024年も回復が続きそうだ。新車の国内販売が22年秋以降、好調に推移していることを受け、使用済み車の発生量も23年夏から前年同期に比べてプラス傾向が鮮明になっている。事業者からは「22年よりは少し増えた」との声が多く上がっており、「24年はさらなる回復を」と期待を寄せている。

 自動車リサイクル促進センター(JARC、細田衛士理事長)によると、使用済み車の年間発生台数は21年の約316万6千台を最後に、300万台を割り込んでいる。24年は久しぶりにこの水準を突破できるかが、注目の一つだ。

 リサイクル各社の経営は、中古部品と資源の販売が支えている。23年は円安を背景に部品輸出を伸ばした企業がある一方、触媒に使う貴金属価格の下落で打撃を受けた事業者もあった。ロシア向けの部品輸出は、「ウクライナ侵攻を受けた経済制裁の影響で減少した」とする事業者が多いが、中東やアフリカ方面への輸出は活発だ。鉄スクラップの価格も引き続き高値で推移しており、このままの状況が続けば、業績拡大の後押しとなりそうだ。

 気掛かりなのは、光熱費や物流費などのコストが上昇傾向にあることだ。中古部品の輸送に必要な梱包資材などが値上がりしている。また、物流の「2024年問題」が経営にどの程度影響を与えるのかにも事業者は強い関心を抱いている。