待遇改善を訴えるUAWの組合員ら

 米自動車メーカー大手3社の従業員が加盟する全米自動車労働組合(UAW)によるストライキが長期化の様相を呈している。大手3社を対象にした史上初のスト開始から1週間を迎えた22日、UAWはストを実施する拠点数を大幅に拡大すると発表した。日本の自動車メーカーはUAWに加盟していないため、直接的な影響はないが、米メーカーに部品を供給する日本のサプライヤーからは事業へのマイナス影響を懸念する声も出ている。

 UAWは当初、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、ステランティスの完成車工場それぞれ1拠点でストを始めた。22日には、フォードを除く2社と労組の交渉に進展がみられなかったとして、GMとステランティスに対するストを20州38拠点の部品配送センターにまで広げた。対象の組合員数は約1万3千人から約1万8600人に増えた。

 UAWの全組合員(約15万人)に占める比率はまだ1割ほどだが、現地報道によると、スト開始の1週間で生産できなかった車両は1万6千台に及んだ。対象拠点がさらに広がれば米国経済に与える影響はより大きくなる。

 日本企業にとって、ストの影響が出る可能性が高いのは3社に部品を供給するサプライヤーだ。米国に進出するある部品メーカーは「現時点での影響はほぼないが、引き続き、状況は注視していく」と語った。自動車事業を手がける材料メーカーは「現時点での影響は話せないが、(ストが)長引く可能性があり、自動車メーカー担当者とのヒアリングを始めている」と、ストの長期化に備えた対応を協議し始めたことを明かした。

 UAWのストをめぐっては、米バイデン政権も注視しており、UAW側を支持する立場を表明している。ただ、電動化に巨費を投じ大手3社にとって、ただでさえ重い労務費負担の上昇は避けたいところだ。ストの影響はもちろん、妥結した場合の新協約の内容も注目される。