CBT全景

 東レはDM三井製糖との共同出資会社CBT(タイ・バンコク)における非可食バイオマス由来の基幹ポリマー原料の早期事業化に向けて、12億円を増資したと発表した。CBTは新たに熱帯低木のキャッサバ芋由来のパルプ処理設備を導入、2030年までに年間10万トン規模の非可食糖の製造技術確立を目指す。非可食糖から精製したバイオモノマーは、自動車の内装・エアバッグ用の繊維やフィルム、樹脂の原料にも活用する考え。東レはこうした取り組みによって、30年には基幹ポリマー製品原料の20%をバイオマスやリサイクル材などの再生資源に転換する計画だ。

 同社はDM三井製糖と共同で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の国際実証事業として、CBTを舞台に非可食バイオマス糖の製造技術確立に取り組んだ。実証終了後の23年4月に東レは増資。従来のサトウキビ由来のバガスに加え、キャッサバに対応した製造設備を年内にもCBTに導入する。

 非可食バイオマス糖の精製には多くの熱エネルギーが必要だが、同社は高分子分離膜などを用いる方法で、エネルギー使用量を従来比から半減したという。

 同社は今後、バイオマス保有企業やバイオモノマー開発企業との連携を図り、ポリエステルやナイロンの原料となるポリマーのバイオベース化を進めていく。さらに非可食糖を安定して精製する技術を確立した上で、30年には複数の商用プラントで年産10万トン規模の供給体制の構築を目指す。車室内用に提案している100%バイオPET繊維のほか、エアバッグに使われるナイロン66のバイオベース化にも取り組み、自動車業界の脱炭素化にも貢献していく考えだ。