帝国データバンクは、ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)の仕入れ先や下請け先に関する調査結果をまとめた。これによると、同社と取引をしていた企業は全国410社に上ると推計。売上高の合計は224億円に達するとみている。取引先企業の業種も自動車部品の卸売業や運送業、中古車小売りのほか、建設や内装の工事を請け負う事業者が含まれるなど多岐にわたる。同社は自動車保険金の不正請求をはじめとする一連の不祥事で、来店客が減少しているとみられる。このまま業績が回復しなければ、多くの事業者の経営に波及する可能性が高い。

 帝国データバンクは、売上高の1%以上をビッグモーターに依存している事業者を抽出して調査した。業種別では410社中、「自動車部分品・付属品卸売業」が40社で、全体の約1割を占めトップだった。同率4位は「一般貨物自動車運送業」(13社)、同率6位が「中古自動車小売業」(12社)となっている。同社の主力事業である中古車販売や整備などで、取引があったとみられる。

 店舗投資とみられる分野も目立った。2、3位には「建築工事業」(22社)、「内装工事業」(20社)となっており、「土木工事業」(13社)、「鉄骨工事業」(11社)と続く。ビッグモーターは新規出店を繰り返すことで、業績を伸ばすビジネスモデルとなっている。このため、出店や改装などに多額のコストがかかっていたとみられ、取引先も増えた格好だ。ただ、同社は7月25日に開いた会見で、今後30店舗ほどあった投資計画を白紙にすると表明している。出店コストはかからなくなる一方で、売上高の拡大に頼っていた経営にブレーキがかかる恐れもある。

 また、取引の度合い別でみると、ビッグモーターと直接取引していた「ティア1」は156社で、売上高ベースでは187億2千万円に上るとみられる。間接的に取引がある「ティア2」「ティア3」はそれぞれ229社、25社。金額にして35億8千万円、1億円と推計している。ビッグモーターと関係が深いほど、取引額が増加する傾向がみられる。

 同社をめぐっては、保険金の不正請求だけではなく、店舗前の街路樹に除草剤をまくなど、さまざまな不適切な事案が明らかになっている。ブランドイメージも低下しているとみられ、来店客や中古車販売、整備入庫の回復への道筋は容易ではないと想定される。帝国データバンクも「ビッグモーターの業績悪化は免れない」とみており、取引先や下請け先など「こうした企業への影響も避けられない」と指摘している。