チャットGPT使用中の画面

 メルセデス・ベンツは、車載ユニットの音声認識システムの操作性向上を狙い、16日から生成AI「チャットGPT」の活用を開始した。従来の音声認識では、操作に使用できる用語やシステムでの応答が、あらかじめプログラムされた内容に限定されることが通例だった。同社は自由な言葉で、自然な会話に近いスタイルで操作者とシステムのやり取りを実現するため、生成AIを取り込み、大規模な言語モデルを活用できるようにした。当面は、音声認識を搭載する米国の90万台の既販車を対象に、ベータ(試験運用)版プログラムとして提供する。

 スポーツや天気、車両周辺の情報などを操作者のリクエストに応じて回答する「MBUXボイスアシスタント」の搭載車向け新サービスで、マイクロソフトのクラウドサービス「アズール・オープンAI」を介してチャットGPTを連携させる。ベータ版で3カ月間検証して改良を進める。順次、多言語でのサービス提供を目指す考えだ。

 乗員が発する直感的で自然な言葉による操作が可能になることに加えて、システムの応答可能なトピックも広がるため、音声アシスタントと会話ができるようになるという。

 運転中にドライブ目的地の詳細を調べてもらうことや、夕食のレシピを相談できるほどの会話力だという。顧客の情報や利用データはメルセデスが管理・保護する。

 同社CTO(最高技術責任者)のマルクス・シェーファー取締役は「マイクロソフトと協力してチャットGPTをクラウド環境で取り入れた。われわれの車両を顧客のデジタルライフの中心に据えるための重要なマイルストーンになる」と述べ、生成AIが車両デジタルサービスの進化に欠かせない技術とした。