メルセデス・ベンツとBMWグループは、2023年1~3月期の乗用車新車販売台数(速報)を発表した。総販売台数は両社とも半導体不足やロシア・ウクライナ戦争などの影響を受けた前年同期とほぼ同じ水準にとどまった。しかしバッテリー電気自動車(BEV)は、両社とも8割強増加し総販売台数の1割強を占めるなど、順調に台数を積み上げた。

【メルセデス・ベンツ】

 総台数はコアセグメント(C/Eクラスおよびこれらの派生車種、EQC、EQE、同SUV=量販モデル)の2桁減で前年同期比3・4%増にとどまった。トップエンドセグメント(AMG、Gクラス、マイバッハ、Sクラス、GLS、EQS、同SUV=上級モデル)とエントリーセグメント(A/Bクラスおよびこれらの派生車種、EQA、EQB)を同17~26%伸ばし、全体のプラスにつなげた。

 BEVの販売構成比は同4.6ポイント増の10.2%に拡大。車種別台数は前期デビューした「EQS SUV」が5500台、「EQE」が9400台。また「EQB」が1万1200台(同189%増)、「EQA」が1万800台(同64%増)だった。

 コアセグメントの2桁減は、主力モデルの「GLC」と「Eクラス」がモデルチェンジの狭間に入り伸び悩んだことが響いた。両モデルの新型車は今後の数カ月でグローバル導入を計画しており、これを機に挽回を目指す。

 エントリーセグメントの伸びは「GLB」「GLA」「EQB」「EQA」が牽引した。

 地域別では欧州、アジアと、米国を除く北米で増加した。BEVは欧州が同41%増、中国が同109%増、日本が同379%増、北米が327%増だった。

【BMWグループ】

 総台数はBMWが微減、ミニが1割弱落ち込んだため前年同期比1.2%減となった。ロシア向けの輸出禁止が響いた。

 BEVは順調で、グループ全体では8割強増加。BMWに限れば同112.3%増の5万5979台に倍増した。販売の中心は「iX」「i7」「i4」「iX3」だった。今後は新型車「i5」などを梃にさらなる増販を目指す。

 ブランド別では、スポーツタイプの「BMW M」が同18.9%増の4万6430台で2桁増加した。BEVの派生モデル「i4 M50」や「M3ツーリング」が好調。「XMプラグインハイブリッド」によって高級SUV市場でも健闘した。

 二輪車「BMW モトラッド」は同1.1%増の4万7935台となり、前年に記録した1~3月期過去最高の販売台数を更新した。高出力車「M1000R」の導入などによって増加した。

 地域別では米州が2桁増加したが、他地域は軒並みマイナス。4~6月期以降は新型車攻勢などを通じ巻き返しを図る。