開発中の「カントリーマン」

 BMWは、11月に生産開始を予定する新型「ミニ カントリーマン」(日本名=クロスオーバー)の概要を発表した。ミニでは6モデル目の電気自動車(EV)で、同ブランドのEV初となる四輪駆動(4WD)車を設定。4WD車は最高出力230キロワットを確保し走行性能を高めた。パワートレインの〝完全電動化〟に加えて、アルミニウム素材や内装材にリサイクル材を多用するなどサステイナビリティーを意識し設計した。また同ブランド初のドイツ生産車で、工場に風力発電を導入したことでも環境対応をアピールし、拡販を目指す。

 カントリーマンは、ミニシリーズの中では最も車体サイズが大きい旗艦車種。2017年に発表した2代目モデルにミニ初のプラグンハイブリッド車(PHV)を設定するなど、同ブランドの電動化を牽引してきた。今回の新型車は5ドアのSUVスタイルを継承。全長を従来モデル比130ミリメートル増の4429ミリメートル、全高を同60ミリメートル増の1613ミリメートルに拡大し室内スペースを広げた。

 ラインアップは駆動ユニットを前後に搭載する4WD車と、最高出力140キロワットの前輪駆動(FF)車を設定。バッテリー容量は64.7キロワット時、航続距離は450キロメートルとする。

 リサイクル材は、まず軽合金鋳造ホイールのアルミニウム素材の70%に活用。同時にダッシュボード、ステアリングホイール、ヘッドライナー、フロア、フロアマットの表皮に、ペットボトルやカーペットの廃材から再生したポリエステルを採用した。これらとグルーン電力の使用によって、生産段階の二酸化炭素排出量を最大85%削減できるという。

 生産は、BMWグループの独ライプツィヒ工場が担当する。ミニは従来、英国オックスフォード工場で生産されてきたが、新型カントリーマンは4基の風力発電の導入などグリーンエネルギーの活用で先行したライプツィヒ工場で行う。同工場はBMWのEV「i3」から回収した700個の駆動用バッテリーに風力発電した電気を蓄え、電力供給の安定化を図った。