DLIが進めるプロジェクトの様子

 出光興産は、豪州でリチウム鉱山の探鉱を手がけるデルタリチウム(DLI)に追加出資して連携を強化するとともに、電気自動車(EV)などのリチウムイオン電池向けリチウム化合物の精錬事業への参入を検討すると発表した。リチウムイオン化合物の精錬は中国に集中しており、地政学的なリスクがあることから、豪州で手がけて先進国の自動車メーカーや電池メーカーのニーズに対応する。

 DLIは、西オーストラリア州でリチウム鉱山を探鉱する2つのプロジェクトを推進している。出光は今年1月、DLIに500万豪ドル(約5億円)を出資したが、今回4800万豪ドル(約68億円)を追加出資し、出資比率を15%にした。

 DLIは今回の増資で得た資金を、リチウム鉱石の生産や供給の安定化するのに投資する。今後、両社は鉱山の操業やマーケティング、資金調達、政府支援政策に関する活動や鉱区取得活動、購買、精製・精錬技術に加え、電池の正極材の材料などになる水酸化リチウムなどのリチウム化合物製錬事業への進出を協議していく予定。

 豪州は鉱物資源が豊富で、リチウムやバナジウムなどの多くのレアメタルが確認されている。日米欧の自動車メーカーや電池メーカーからリチウムの精錬が集中している中国以外の調達ニーズが高まっていることに対応する。出光は約40年にわたって豪州で石炭鉱山を操業してきた。この事業基盤を生かし、石炭鉱山操業と親和性があり、低炭素社会を実現する上で不可欠なレアメタル事業の本格参入を目指す。