HIFが製造した合成燃料

 出光興産は5日、南米・北米・豪州で合成燃料を製造するHIFグローバルと日本国内で合成燃料を実用化して普及するため戦略的パートナーシップを締結することで基本合意したと発表した。海外で製造した合成燃料の調達や、国内外での合成燃料製造設備への共同出資などを検討していく。

 出光興産は、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成に向けて合成燃料の実用化を検討しており、今年1月にHIFのチリ南部にある合成燃料の実証試験プラントを視察するとともに、提携を協議してきた。合成燃料の早期の社会実装を図るため、戦略的パートナーシップを結ぶことで基本合意した。両社は海外プロジェクトから合成燃料を調達するとともに、日本市場向けに供給することや、国内外での合成燃料製造設備への共同出資、国内で回収した二酸化炭素(CO2)の輸送と活用などで連携することを検討する。

 合成燃料は、水素と大気中のCO2を合成する液体燃料。再生可能エネルギーを活用して生産すれば、内燃機関や既存の石油系燃料供給インフラをそのまま活用できるカーボンニュートラル燃料となることから実用化が期待されている。

 HIFはフォルクスワーゲン(VW)グループのポルシェなども出資する合成燃料のリーディング企業。昨年12月にチリに設けた実証プラントで、合成燃料の生産に成功し、米国テキサス州と豪州タスマニア州に商業生産するプラントを建設する予定。