リケンと日本ピストンリング(日ピス)は、両社の経営統合について公正取引委員会の審査手続きが完了し「排除措置命令を行わない」との通知を受けたと9日までに発表した。23日に最終契約書を締結し、事業計画を詰める。新会社の設立は10月2日を予定している。

 両社は、今年4月に持ち株会社方式での経営統合を予定していたが、公取委の審査に時間がかかっていた。国内のピストンリング市場は両社とTPRの3社で占める。特にTPRが手がけていない製品領域が独占禁止法に抵触しないか、公取委が両社と顧客である自動車メーカーなどへ聞き取り調査を実施してきた。

 審査では、今回の経営統合が「グリーン社会」の実現に貢献するかどうかが焦点のひとつだったとみられる。両社は経営統合にあたり、水素やアンモニアといった次世代燃料への対応を含めた「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)への貢献」を掲げていた。公取委も3月、政府目標である2050年のカーボンニュートラル達成に向け、革新的な新技術を創出する可能性のある企業結合は「基本的に独禁法上問題とならない場合が多い」との考えを示していた。

 両社は今後、新会社の詳細な事業計画を策定し、10月の新会社設立を目指す。