トヨタ自動車で長年、ディーゼルエンジンや水素関連技術の開発に携わってきた。「環境に良い車を作りたくてトヨタを志望した。JHyMでも水素ステーション(ST)網の構築を通じて貢献したい」と意気込む。

 水素STの整備は踊り場を迎える。JHyMは立ち上げからの約5年で全国に166拠点の水素STを整備した。政府目標である160拠点の達成に貢献し「この5年間がなければ次の5年はなかっただろう」と話す。ただ、燃料電池車(FCV)の普及が限られる中、水素STの採算確保が大きな課題となる。JHyMの事業期間は10年だが「『10年過ぎたら終わり』ではいけない。JHyMがなくても水素STが建ち、利益を出せるようにする」と話す。

 水素STが未整備の地域で、ある企業経営者と話す機会があった。「その方は『自分たちの町でFCVを走らせたい』という熱い思いでST事業に参入してくださった。今、水素STを運営してくれている人たちも、強い志を持って取り組んでくれている。その方たちに応えていかなくては」と気を引き締める。

 今年からは、水素を大量に消費する商用FCVを視野に入れた施策を検討していく。採算確保の指標とともに、水素STの運営を続けられるよう支援もしていく。「痛みを伴う時もあるかもしれない。それでも未来のために投資をしてくれる志のある人たちと共に進んでいく」と語る。

 趣味は毎週通うサウナ。「気持ちをリセットできるからか、サウナに行った夜はぐっすり眠れる」と良い気分転換の機会になっているようだ。

 よしだ・こうへい 2000年3月九州大学大学院工学研究科修了、同年4月トヨタ自動車入社。ディーゼルエンジン開発などに携わり、19年東富士研究所FC基盤開発部長、21年FC製品開発部長、22年東富士研究所水素基盤開発部長。今年4月1日から日本水素ステーションネットワーク(JHyM)社長。1975年4月生まれ、48歳。福岡県出身。

(村田 浩子)