共同声明の会見(写真中央左が西村環境相、中央右が西村経産相).jpg

先進7カ国(G7)は4月16日、気候・エネルギー・環境大臣会合で取りまとめた共同声明を公表した。自動車分野では、各国のエネルギー事情を考慮し、電気自動車(EV)だけでなく、多様な選択肢で脱炭素化を進める方針を強調した。G7として初めて保有車両における二酸化炭素(CO2)排出削減の必要性にも触れた。日本の政府目標である「2035年までに乗用車の新車販売の100%を電動車に」も文言に盛り込まれ、EV一辺倒ではない日本の電動化政策が改めて世界に示された格好となった。

共同声明には、35年までにG7全体で保有車両のCO2排出量を、00年比で50%削減する可能性に留意する旨を盛り込んだ。現時点では目標化はしないものの、各国の削減の進捗について評価していく。

日本自動車工業会(自工会)によると、世界における四輪車の保有台数(20年)は約15億3500万台で、このうち約3分の1をG7の国々が占める。足元の保有車両のCO2削減量は、G7全体で00年比5%減程度にとどまっており、35年に向けて取り組みを加速していく方針だ。

実現に向けては、選択肢をEVに限定せず「多様な道筋」を追求する。各国のエネルギー事情を踏まえた政策を尊重する方針で、日本の35年電動車目標に対しても「我々のそれぞれが保有車両を脱炭素化するために採る様々な行動」として認めた格好だ。合成燃料やバイオ燃料などカーボンニュートラル燃料を促進していく方針も盛り込まれ、経済産業省の担当者は「EV一辺倒ではない日本の基本的な主張を反映できた」とした。

自動車分野ではこのほか、EVの電池に用いるレアメタルなど重要鉱物の供給網を強化する方向性も示した。

G7の気候・エネルギー・環境大臣会合は、2日間にわたって札幌市内で行われた。議長国の代表として16日に開かれたプレスカンファレンスに登壇した西村康稔経済産業相は「既存の車両も含めてCO2排出量を削減していく大きな方向性を共有できた。来月の広島サミットに向け大きく前進できた」とG7札幌での議論を評価した。