事業方針を説明する佐藤恒治新社長

 トヨタ自動車は7日、佐藤恒治新社長をはじめとする新たな経営体制による事業方針説明会を都内で開いた。佐藤社長は、2026年までに10モデルの電気自動車(EV)を投入し、年間150万台の世界販売を目指す考えを明らかにした。EVの開発・生産などを統括する専任組織も新設する。佐藤社長は一方で、地域ニーズに応じて最適なパワートレインを提供する「マルチパスウェイ戦略」も強調し、水素や合成燃料などをにらんだ車両開発にも引き続き、取り組む考えを改めて示した。

 佐藤社長は、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現や移動の自由を高めるための構想「トヨタモビリティコンセプト」を発表した。この構想の実現に向け「電動化」「知能化」「多様化」の3本柱に取り組む。中嶋裕樹副社長、宮崎洋一副社長が具体的な戦略を説明した。

 26年のEV販売目標は、21年12月に示した「30年までに30車種を投入し、年間販売350万台を目指す」と既存計画の中間目標となる。中国では24年に2モデル投入するほか、米国では25年に現地生産の3列SUVのEVを投入。26年には電池の効率改善で航続距離を現在の2倍程度に高めた「次世代EV」を投入する。生産技術の高度化も進め、生産工程数を半減させ、コスト競争力を大幅に高める。

 EV以外のパワートレインにも力を入れる。プラグインハイブリッド車(PHV)はEV航続距離を200キロメートル程度に伸ばし、FCVは商用車での展開を始める。35年にライフサイクルアセスメントでの二酸化炭素(CO2)排出量を50%削減する計画だ。EVをはじめ、「全方位」での開発や生産体制には手厚い資金も要るが、「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)や、収益改善が進んだHVの拡販で原資を確保し、カーボンニュートラルの実現に向けた開発を加速する。