トヨタ自動車は28日、富士スピードウェイ(FSW、静岡県小山町)周辺を開発する「富士モータースポーツフォレスト・プロジェクト」を推進する新会社「富士モータースポーツフォレスト」を4月3日付で設立すると発表した。資本金は1億円。トヨタ出身の酒井良氏が社長に就任する。三菱地所、大成建設が保有する株式をトヨタが譲り受け、FSWは新会社の完全子会社となる。新会社を中心にレース場やホテル、ミュージアムなどを連携させ、モータースポーツやモビリティの魅力を発信する複合エリアとして運営する。

 同エリアの開発については、2018年8月に東和不動産(現トヨタ不動産)が静岡県小山町と開発基本協定を締結し、トヨタグループの不動産会社としてモータースポーツの魅力を発信する「モータースポーツビレッジ計画」(仮称)を発表した。22年4月にはトヨタがFSWを中心に複合施設を展開する富士モータースポーツフォレストの開発計画を明らかにした。

 22年10月には「富士スピードウェイホテル」と「富士モータースポーツミュージアム」を開業した。プロレーシングチーム向けのガレージやさまざまな道路状況を再現した試乗コース「トヨタ交通安全センターモビリタ」、温浴施設やレストランなどの開発も計画しており、総面積は250ヘクタールとなる予定。

 新会社では、FSWを子会社化するとともに、ホテルやミュージアム、エリア開発を担当するトヨタ不動産との連携を強化することで「モータースポーツを楽しむ人も、モータースポーツで働く人も、大人も子供も『この富士の地に来たい』と思ってもらえるような場所を目指す」(トヨタ)としている。

 トヨタは、自動車競技を新車開発に採り入れたり、水素エンジン車で耐久レースに参戦するなど、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を推し進めている。FSWを完全子会社化することで、こうした取り組みを加速させる。