開発したピースピッキングロボットシステム
アセントロボティクスの久夛良木代表とブリヂストンの「ソフトロボティクス ベンチャーズ」の音山CEO(右)

 ブリヂストンは、人工知能(AI)ソフトウエアを手掛けるアセントロボティクス(久夛良木健代表、東京都渋谷区)と資本業務提携を結んだ。ブリヂストンは5億円を出資、アセントのAI技術を活用して「ピースピッキングロボットシステム」を実用化し、物流倉庫などの人手不足の支援を目指す。当面の目標は2024年の小規模模事業化で、ブリヂストンはビジネス展開に向け同社初の社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」を設立した。

 同社は約40年にわたり、ゴムやホースのコア技術を応用した人工筋肉やロボット技術を研究してきた。その中で開発した「ソフトハンドロボット」は、ゴムチューブに空圧や油圧で力を加える機構で、ゆで卵から米俵までさまざまな物をつかんで持ち上げられる繊細さと保持力を両立したことが特徴だ。これにアセントのAI物体認識技術を組み込むことで、人間のように対象物を認識し、持ち上げる力加減や方向、順序などを考慮しながら動作するピッキングロボットが実現できたという。

 活用先は物流倉庫でのさまざまな商品のピッキング作業を中心に想定する。従来、人手が欠かせなかった作業の機械化を実現して、労働力不足に直面する物流業界で役立ててもらう考えだ。

 ブリヂストン社内ベンチャーCEOの音山哲一氏は「モビリティ以外の分野に挑戦し、(ゴムの)柔らかさを活用して新しい価値を提供する」と力を込める。アセントの久夛良木代表はソニー出身で、ゲーム機「プレイステーション」の開発者としても知られる。「なぜこれまで出てこなかったが不思議。活用の輪を広げたい」と、ソフトロボティクスの可能性に期待した。