住友ゴム工業は14日、2023年から5年間の中期経営計画を発表した。2025年までに北米での収益改善に取り組むとともに、収益性が低い事業の割合を3割程度に下げて高収益体質を目指す。「タイヤ事業本部」を立ち上げるほか、将来の成長に向けデジタル人材も3500人育成する。収益力の改善と成長投資を同時に進めていく。
同社は、20年から25年度までの前中計で売上高1兆円、事業利益1千億円の目標を掲げていたが、コロナ禍による中国のロックダウン(都市封鎖)や原材料・エネルギー高などを踏まえて業績見通しを下方修正していた。22年12月期は売上高こそ1兆円を上回ったが事業利益は約219億円にとどまった。特にタイヤ事業は利益率の低下が顕著で、およそ4割を北米事業の利益悪化が占めており、テコ入れが急務だ。
新たな中期経営計画では、「北米で稼ぐ体質」とし、既存事業の「選択と集中」にも取り組む。米国工場では収益改善に取り組むほか、浮いた経営資源を活用し、26年以降の新拠点設立などで、現状で最大20%程度の「地産地消率」を40%以上に高めていく。
タイヤ事業も既存事業の選択と集中に取り組み、収益性が低い事業などの比率を3割とし、高付加価値製品や成長事業を7割に伸ばす。
組織の再構築も引き続き進める。タイヤ事業本部を新設し、原材料の調達から商品企画、製造、販売、アフターサービスまで一貫して取り組む体制の構築を目指す。また、26年から本格的にDX(デジタルトランスフォーメーション)経営に取り組むため、3500人をデジタル人材として育成する。
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)対応では、白河工場(福島県白河市)で従来の天然ガスから水素ボイラーを用いて、スコープ1と2のカーボンニュートラルを達成したタイヤの量産を1月から始めた。
山本悟社長は「ターニングポイントとして選択と集中を進める。2年間で成果を出せるようにしたい」と語った。