部品生産のカーボンニュートラル対応も重要な経営課題になる

 2023年の部品業界は、自動車生産の本格回復を期待しながら、世界的に進む車両電動化への対応とカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現に向けた取り組みを一段と推進する。半導体不足や部品調達問題などで変動する自動車メーカーの動向を注視しつつ、将来の持続的成長に向けた変革への準備を着々と進めていく。

 部品メーカーの業績は自動車メーカーの生産に大きく左右される。それだけに、ジヤトコの佐藤朋由社長が「自動車生産の回復は23年も厳しいだろう。24年に徐々に戻ってくると感じている」と指摘するように、今年も厳しい経営環境が続く見通しだ。

 足元では原材料価格や物流費、エネルギーコストが高騰し、サプライヤー各社の大きな収益圧迫要因となっている。こうしたコスト増を肩代わりする自動車メーカーは一部に限られ、「コスト上昇分の8~9割は身銭を切っている」(プレス部品メーカー幹部)。今年も継続して値上げ要請を続けながら、自動車生産の本格回復を待つことになる。

 一方、電動化とともに本格的な対応を求められているのがカーボンニュートラルへの取り組みだ。自動車メーカーは一部のサプライヤーに対し、二酸化炭素(CO2)排出量削減の要請を出し始めている。自動車メーカーがサプライヤーに出す部品のRFQ(見積依頼書)に記載するケースも見られ、脱炭素に向けた経営活動が例年以上に重要になりそうだ。