電気自動車(EV)向け駆動ユニット「eアクスル」実用化に向けた技術開発が加速している。eアクスルは駆動用モーターとインバーター、減速機を一体化した製品。国内では、ボッシュや日本電産、アイシン、明電舎などが実用化したり、開発に取り組んでいる。
eアクスルの採用が先行して進んでいるのは中国や欧州だ。特に中国は「(生産効率化のため)一体化した製品が求められる」(eアクスルメーカー)傾向にある。すでに現地で実用化・量産を先行しているのが日本電産だ。同社は中国に加え、9月末からステランティスとの合弁工場で生産を開始。拡大する需要を取り込んでいる。
EV普及の分水嶺と言われている2025年以降の需要拡大に応えるため、高性能化・低コスト化を実現した第2世代以降のeアクスルの開発がすでに進み始めている。
日本電産は10月に第2世代eアクスルの生産を開始。レアアース使用量を減らすために材料や設計を見直し、コスト低減と性能向上を図った。25年以降には、マグネットフリーの第3世代を投入する考え。収益率の高い製品を開発する。
アイシンは車両サイズに合わせ、第2世代eアクスルを「ミディアム」「スモール」「ラージプレミアム」の3機種展開する。「ミディアム」では競合品に比べ損失を30%低減、空力デバイスなどとの組み合わせにより電費を15%向上する。「スモール」は製品体積を競合品比で40%減らした。27年以降に投入を計画していた第3世代の技術を前倒しして開発する。「ラージプレミアム」はキャンピングカーなどをけん引する米国ニーズ向けで、競合品比2倍の動力性能を確保する。
コスト競争力以外の製品力も高めることが、EV時代を生き抜くカギとなる。