マツダは22日、2026年3月期までの中期経営計画を更新するとともに、30年に向けた基本方針を発表した。30年までに累計1兆5千億円を投じ、電動化事業を強化するとともに、電池の調達や電気自動車(EV)の生産体制を整える。25~27年にEV専用車を投入後、28年~30年に商品展開を本格化させる。世界販売に占めるEV比率を30年に最大40%に引き上げる。

 丸本明社長が30年に向けた基本方針として、(1)カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向けた取り組み、(2)電動化戦略、(3)人とITの共創によるマツダ独自の価値創造、(4)原価低減活動とサプライチェーン(供給網)の強靭化、について説明した。

 具体的策を公表したのは電動化の領域だ。幅広いパワートレインを展開する「マルチソリューション戦略」をベースに、新しいハイブリッドシステムや内燃機関の効率向上を進める一方、段階的にEVのウエイトを高める。丸本社長は「この3年間で本格的な電動化時代に対応するための技術開発に取り組む」とし、24年までに電動車の開発を強化し、25年以降にEV専用車を中国を皮切りに投入、30年にかけて車種や地域を拡大していく構想を示した。

 EVの生産体制は国内工場を主軸に据える。車載電池は当面、電池調達契約で合意したエンビジョンAESCジャパンなどからの調達でまかなうが、30年に向けて電池工場への投資も視野に入れる。

 「カーボンニュートラルや電動化は個社だけでは対応できない」(丸本社長)として、電池メーカー以外との協業も強化する。ロームや今仙電機製作所、広島アルミニウム工業、ヒロテック、オンド、中央化成品、富田電機と電動駆動ユニットを共同開発する。

 「人とITの共創によるマツダ独自の価値創造」では、人体や脳のメカニズムをモデル化し、高度運転支援技術に取り込むことで、40年にマツダ車起因の死亡事故ゼロを目指す。「原価低減活動とサプライチェーンの強靭化」も進め、電動化投資が増える局面でも収益確保に努める考え。