トヨタ・モビリティ基金とデンソー、東京海上日動火災保険、東京大学は、愛知県豊田市で高齢者の安全運転支援を目的とした実証実験を10月に開始すると発表した。車両に装着したドライブレコーダーの運転データを人工知能(AI)が分析し、ドライバーに運転診断結果とアドバイスを行う。豊田市在住の60歳以上のドライバーを対象に3千人程度が参加し、2024年4月まで実施する。

 参加者は4カ月間、ドライブレコーダーをマイカーに装着して運転データを記録する。カメラの映像とセンサーデータを、デンソーが開発したAIによる画像解析技術などを用いて診断する。

 一般的な運転診断は衝突時などの「イベント記録機能」を活用するケースが多いが、今回の実証実験では運転中の記録データをすべて活用し、日常運転の癖や潜在的なリスクまで解析する。東京海上日動はドライブレコーダーの提供とデータ解析結果の検証支援、東京大学は大学院新領域創成科学研究科が高齢者の運転行動分析に基づく知見やアドバイスを提供する。

 豊田市の交通死亡事故ゼロを目指した官民連携事業「ジコゼロ大作戦」の一環として実施する。全国の交通事故件数は減少傾向にある一方で、高齢ドライバーの死亡事故は増加傾向にある。今回の実証実験では、ドライバーへのアドバイスで日ごろの運転行動に変容を促し事故の抑制を図る。また、トヨタ・モビリティ基金では、実証実験で得た知見を公開し、AIのデータ分析による高齢者の移動課題解決への活用を促す考え。