オンライン会見に出席した小木曽社長

日野自動車は8月22日、エンジン認証不正問題で、小型トラック用エンジンに新たな不正行為が判明したと発表した。出荷停止済みの大中型トラックに加え、同エンジンを搭載する「デュトロ」の出荷を同日付けで停止した。国内工場からの出荷台数のうち停止する車種の割合は今月2日時点の3割から6割に拡大。輸出向けの生産は続くが、国内向け車種のほぼ全てが出荷停止となった。国内販売の半数を占める主力の小型トラックで不正が発覚したことで、日野の業績のほか、サプライヤーや販売会社に与える影響もさらに広がる。

新たに不正が発覚したのはHC-SCR(炭化水素選択的還元)システムを搭載した小型エンジン「N04C」の2019年モデル。同日付けで同エンジンを搭載するデュトロとトヨタ「ダイナ」の出荷を停止した。トヨタ製エンジンを搭載する1.5トン車の生産、出荷は継続する。

規制値は満たしているものの、排出ガス劣化耐久試験で定められている規定の測定回数を満たしていなかった。加えて規定回数を満たしていない状態で測定したデータをもとに劣化補正値算出を算出していた。2日に不正の全容として特別調査委員会が調査結果を公表したが、国土交通省が今月3日に行った立ち入り検査で新たな不正が発覚した。日野は「当社が(測定試験の回数を)問題と認識していなかったため、そうした調査の材料を提供できていなかった」(中根健人コンプライアンス推進担当 取締役・専務役員)という。

追加の不正発覚による関係企業への影響は大きい。デュトロの21年度の登録台数は2万7千台で国内販売の約半数を占める。古河工場で生産する大中型トラックと、羽村工場で生産する小型トラックを合わせた21年度の出荷台数は10万5千台で、うち出荷停止の対象車種は6割になっており、サプライヤーへの影響拡大も必至だ。累計の不正対象台数は2日時点の56万7千台から64万4千台に拡大した。