出荷停止の対象台数が拡大し、影響が広がる

 日野自動車の排出ガス・燃費試験不正の対象台数が拡大した影響が販売会社や部品メーカーなどの取引先に広がりそうだ。現行車種は小型トラック以外が出荷停止となり、架装メーカーやサプライヤーなどの事業への影響は長引く見通し。販売現場ではメーカーとディーラーが一体となって顧客対応を進めているが、出荷再開時期のめどが立たない状況に業界には困惑が広がっている。日野は取引先の不安解消に全力を挙げる。

 日野の2日の発表によると、出荷停止の対象車種は3月の前回公表時から拡大し、小型トラック以外は出荷できなくなった。国内の年間販売台数に占める出荷停止対象車種の割合は3月の39%に対し、53%に高まった。

 日野は3月上旬から不正行為が判明した大型車と一部の中型車の出荷を停止し、今回の出荷停止の追加によって取引先には不安が広がっている。

 カヤバはミキサー車など特装車の製造に日野の車両を活用している。年間の特装車の生産台数は約1600台で、このうち日野車の割合は約40%と大きい。3月以降は特装車の生産台数が約半分に落ち込んだ。「(検査などを終え)下期、来年には出荷が戻ってくると聞いていたが、今回の不正対象の拡大で生産への影響は長引く」と予想する。

 日野は3日午前、部品メーカー向けにオンライン説明会を開催した。2日に公表した不正の詳細を説明したという。出荷停止の影響については来週にも改めて部品メーカー各社に伝える方針だ。

 部品メーカーは影響が及ぶ範囲や対応を精査している。内燃機関部品メーカーは「対象機種は拡大したが、影響はまちまち。追加の説明を受けて対応を検討するが、国内の業績には一定の影響が出そうだ」と話す。タイヤメーカーでは「今後の対応は説明を精査して決定するが、影響は軽微と考えている」と見通す。

 今回の発表内容に関しては現時点で、取引先に限られた情報しか伝わっていない。この中で各社は情報収集に努めている。

 一方、販売現場も「国土交通省の判断を待つしかない」(日野ディーラー関係者)と状況は変わらないが、納車を待つ顧客への対応を重視して取り組んでいる。

 現在、日野は社員が系列ディーラーに常駐している。日野系ディーラーの関係者は「お客さまの話をいち早くメーカーに伝えている」と、各地で顧客への影響を最小限にするための製販一体での対応が進む。

 日野の新車を扱う関東甲信地方の整備事業者は、ユーザーの多くが「日野に対して愛着を持ってブランドを選んでいる」と話す。「日野のファンは根強く、新車が来るのを待ってくれている」(関西地方の整備事業者)など日野ブランドへの信頼は高い。

 しかし、「(納車を)待ちきれずに他ブランドを選ぶユーザーも出ている」(東北地方の整備事業者)のも事実だ。

 先行き不透明感が強まる中、日野は取引先やユーザーの不安解消に全力を注ぎ、信頼回復に努める。